クックチャムプラスシー|
余計なものが入っていない赤ちゃんにも優しい出汁パック|
オヤノミカタSTORE
上田 涼子さんによる投稿 2016年10月25日
上田 涼子
公式キュレーター
親たちが安心して頼れる<地域の台所>
家庭料理の隠れたニーズを読む
九州四国を中心に、惣菜の製造販売で地道に店舗数を増やしてきた株式会社クックチャムプラスシー(以下クックチャムプラスシー)。愛媛県新居浜市で創業した同社が、惣菜事業で1号店を出店したのは40年前のこと。女性の社会進出に伴い、今で言うワーキングマザーと呼ばれる人たちが増え始めた頃だった。
まだ惣菜を買うという行為イコール「家事を怠けている」と思われていた時代、デパートで売っているような高級惣菜ではなく、肉じゃがやおひたしといった一般の家庭でごく普通に作られている惣菜を品揃えしたところ、お姑さんの目を盗みつつも歓声をあげて買って帰る女性が後を絶たなかったという。
それほどに、惣菜販売には<隠れたニーズ>があったのだ。
「忙しくてご飯が作れない」働く女性が安心して頼れる<地域の台所>としての役割を担うことで、事業は堅調に推移していった。
多くの店舗が住宅街にあったため、繰り返し来店してもらう工夫として、日替わりで50種類のメニューを常時陳列した。
また家庭の味を家庭と同じように作ること、を理念として掲げ、店舗調理で出来立てを提供すること、きちんとだしを引くことなど<より美味しく、より手間暇をかけること>で信頼を集めてきた。
お母さんの愛情を凝縮したおだし
そんなクックチャムプラスシーが昨年9月から販売を開始した「クック・チャム ママ やさしい出汁パック」。
この商品がどのような経緯で誕生したのかを、代表取締役の竹下さんと、その奥様である江連さんに伺った。
クックチャムプラスシーのテーマは「お母さんの愛情」だ。愛する家族に手間暇をかけた料理を食べてもらいたい、という気持ちを大切にしている。
また竹下さんご夫婦には現在7才と3才の二人のお子さんがいらっしゃる。上のお子さんには卵、下のお子さんには卵、牛乳、バナナ、ゴマなどの食物アレルギーがあった。特に下のお子さんに至っては生後7ヶ月でバナナを食べて顔が原型を留めないほどに腫れ上がり、慌てて病院に駆け込んだこともあったという。
そういった経験から食の安全性に対する意識が自然と高くなった竹下さんご夫婦。多忙な現在のお母さんに、惣菜以外の方法でも安心して頼ってもらえるような商品を提供できれば、という想いが強くなっていった。
そこでまず注目したのが家庭で料理を作るうえで、手間が掛かりやすいが欠かせない「だしを引く」という工程だった。顆粒のだしの素やだしパックなどの市販品には、多くの場合化学調味料や保存料といった添加物が含まれている。
これらを使わない、ごくシンプルな「素材」だけのだしパックが作りたいと考えた。食に強い教育機関に相談したり、パートナーとなる業者選びに奔走したりしつつ、2年近い開発期間を経て、北海道産の昆布と鹿児島産の鰹節だけを使っただしパックが完成した。
だし材料として人気があるアゴ(トビウオ)やイワシなどの青魚はアレルゲンになる可能性があるため不採用とし、離乳食づくりから安心して使ってもらえる商品になっている。
親からこどもへ、受け継がれる家庭の味
コンセプトは「町のお母さん」
クックチャムプラスシーのだしパックは「料亭のだし」「高級だし」ではなく、「町のお母さん」がコンセプト。愛情の色であるピンクをブランディングカラーに、手に取って嬉しいパッケージに仕上げている。
ちなみにこのキャラクターの名前は「クックチャムママ」で、長年親しまれてきた「クックチャムおばちゃん」の娘、という裏設定があるのだそうだ。「クックチャムママ」の側には小さなお子さんも描かれている。
母からママへ、ママから子どもたちへと世代を超えて家庭の味を繋いでいってほしい、という想いがそこに込められている。
アレンジ自在!鰹節、昆布というシンプルさ
私がこのだしパックのパッケージの封を切ったときに、まず気づいたのがその香ばしい香り。個人的にだしは材料を半日ほど浸水させた後に使うことが多いのだが、「やさしい出汁パック」のだしは火を入れる前に既にしっかりとした風味があった。
またそのだしで作った味噌汁はとても優しい味わいで、野菜の旨みを引き立ててくれた。そして個人的に嬉しかったのは、このだしパックのだしガラを使って作ったがふりかけが美味しかったこと!
3歳の長女が、白ご飯を食べるときに欲しがる「ふりかけ」。いつもちりめんじゃこや自家製のゆかりなどを使ってきたのだが、このだしガラを使ったふりかけも大喜びしてくれた。
作り方もいたって簡単。だしガラの中身をフライパンに開けて、醤油と味醂でパラパラになるまで炒りつけ、食感と見た目のアクセントに白胡麻を加えただけ。
捨ててしまうはずのだしガラが子どもを喜ばせる一品に変身したのも、「鰹節と昆布だけ」というシンプルさが成せる技である。だしガラが2,3パック溜まったらふりかけにする、というのが我が家のルーティンに加わりそうだ。
またちょうど離乳食期真っ最中の次女には、このだしパックで引いただしを使った味噌汁でおじやを作ったりもしている。
アレルゲンフリーであるうえに、放射性物質が50ベクレル/kg以下であることを証明する「乳児用規格適用食品」の表示もあるため、安心して使えるのがありがたい。
水400mlに対してだしパック1つの濃さで引いただしを、製氷皿のような小分けトレーに入れて冷凍しておけば、少量ずつの使用にもとても便利である。
添付のレシピによると、この濃さを同量のお湯で溶かせば離乳食に最適なのだそうだ。
親の味方として「食」の基本をサポート
「三つ子の味を百までも」の精神
まさに我が家のような、乳幼児がいる家庭にとってとてもありがたいこのだしパック。
「三つ子の味を百までも」というキャッチコピーの通り、乳幼児期に食べたものが一生の味覚を決めると言われている。
その<「三つ子の味」を子どもに伝えること>を親と共にサポートするのが、惣菜事業を通して長年家庭の味を縁の下で支え続けて来たクックチャムプラスシーの、これからの役目だと竹下さんは言う。
拡大家族であれば親から子に口頭で伝えられていたことが、核家族化によって途切れつつある現代。
その失われつつある機能を外部的に補填し、町や社会全体で子どもを育てられるような環境を整えたいと考えるクックチャムプラスシー。
今後は食に関するイベントやセミナーの開催やレシピの公開など、様々な形で心強いオヤノミカタになってくれそうである。