息子(5歳)が通う幼稚園には、夏に「お泊まり保育」という行事があります。
そんなに凄いものではなく、近所のお寺に泊まって、翌朝迎えに行くだけというもの。
でも、こどもにとっては大層な行事らしく・・・。
息子「おかあさん、かれーつくるの、れんしゅうしよう!」
お泊まり保育では、みんなでカレーライスを作るそう。
そのため息子も、カレーを作りたくてしょうがないらしい。
それまで息子に任せていたのは、「タマネギの皮むき」や「ジャガイモの芽取り」など、親から見て危なくないと思うものばかりでした。
でも、これはいい機会。
包丁を持たせて、最後まで、自分で作ってもらうことにしました。
私「包丁をしっかり持ってね。左手は猫の手で」
息子「こう?」
私「うんそう。きちんと押さえてね」
じゃがいもはごろんごろんと転がる。
ニンジンも、あっち向いたりこっち向いたり。
なんかもう、見ない方がいいんじゃないかと思うくらい(笑)
案の定・・・
息子「あっ」
ニンジンがごろんと動いた拍子に、爪の先に包丁がささる。
ななめに割れた爪の先が、じんわり赤くなる。
息子「・・・」
指先を見つめる息子。
それを見ながら、喉の奥から出かかっていた言葉、
『ほら、言ったでしょ、危ないって』
『だから気をつけないといけないよ』
それらをぐっと飲み込む。
「ほらね」「言ったでしょ」「だからこうなんだよ」なんて、聞きたくないんじゃないか、と。
それらは、私が勝手に決めた答えかもしれない。
前に言ったかどうか、親が分かってるかどうかなんて、本人には全然関係なくて。
本人がその場・そのときに、素直に感じたことこそが大事なのかもしれない・・・。
私「どうしたの?」
息子「きれた」
私「どんな感じ?」
息子「いたい」
私「やめる?」
息子は首を振る。
息子「つぎは、きをつけてやる」
おお。そうだね。
頑張るじゃないの。
そうして、ようやく。
息子「おかあさん、これでいい?」
私「うん。バッチリ」
大小ばらつきはあるものの、ちゃんと切ることができました。
「こどもに包丁を持たせるかどうか」ということについては、色んな意見があると思います。
知人のお母様は「こどもが手を切ると危ないから」と言って、わざわざ刃こぼれした包丁を渡していたとか。
「怪我してほしくない」
「失敗してほしくない」
親心で、ついつい守りたくなるけれど、やっぱり「失敗して学ぶことがある」とも思います。
包丁を持って、手を切って、痛い思いをしたときに
「包丁って、切れると痛い」
「次はこういう持ち方でしないといけない」
「指を切らずに料理するって、凄い」
ということを、誰に教えられるでもなく、自分で感じることが出来るようになるのかもしれません。
私「料理の後は、ちゃんと洗い物もしようね」
息子「うん、ぼく、あらう」
誰に与えられた訳でもない、自分から出てくる責任感って、やっぱり凄い。
いつか、息子が自分で「ぼくが料理する!」なんて言ってくれる日も近いかも。
そして先日行われた、お泊まり保育。
翌朝に迎えに行き、聞いてみる。
私「カレーづくりはどうだった?」
息子「うん!ぼくのぐるーぷで、つくったかれーがね、せんせいおいしい!っていってくれた!」
満面の笑みで教えてくれた。
長かった夏も、もうすぐ終わり。
またひとつ、大きくなって、色んなことを学んでいくね。
そして見たこと・感じたこと、何でもいいから、お母さんに、教えてね。